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里親支援とっとり 所長 遠藤 信彦
今年度も、鳥取県里親会は、里親と、里親宅で暮らしている子どもたちと、施設に入所している子どもたちのふれあい交流イベントを行いました。コロナ禍で、いつものような、大勢で膝を突き合わせ、大はしゃぎで楽しむような催しはできなかったのですが、それでも、密にならないよう広いスペースを確保したり、屋外で実施したりなど、里親会の東部・中部・西部3つの部会が、それぞれにアイデアを駆使して行いました。
中には、コロナ警報により、予定していた日にちの延期を余儀なくされ、『こころなしか肌寒いヤマメのつかみどり』を行った部会もありました。しかしながら、おとなの心配などなんのその、子どもたちは川にざぶんざぶんと浸かり、『とったドー!!!』と、獲物ゲットの雄叫びを高らかにあげ、皆で称賛して、笑い合いました。
今年度のこのイベントは『冠婚葬祭文化振興財団』からの助成を受けて行いました。この財団は、結婚式場や葬儀場、貸衣装レンタルなどの事業者の、助け合いの協会を母体としています。現代社会では、地域のつながりや親族のつながりが薄れ、価値観が多様化したことで、結婚式やお葬式といった昔ながらのセレモニーのかたちが変わって来ています。簡素化されたり、衰退したりして、広い世代の方が一堂に会することが少なくなりました。財団は、地域に伝わる伝統的な儀式の文化を残すための活動をメインとしながら、社会貢献活動を行っており、その一環として、当会の事業を支援して下さいました。
『とったドー!!!』の子どもたちは、あと何年もすれば、里親宅や施設を巣立ち、それぞれにひとつの生活を、それぞれに選んだスタイルでいとなみます。大人になって、どんな集まりの結婚式に参加し、どういったゆかりの方の葬儀に参列するのでしょうか。この子どもたちには、時代の流れにあおられずに、昔ながらの集まりに参加して欲しいと思います。親族であれ、地域であれ、仲間であれ、『とったドー!!!』のように笑い合えるコミュニティーの中で、人とのつながりの中で暮らして欲しいと思います。
2021.03.12
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里親支援とっとり 所長 遠藤 信彦
10年近く、鳥取こども学園本部敷地の『教育棟』という建物の、外来相談・通所部門である1階にデスクを置かせてもらっていましたが、このたび、本部事務所がある『本館・管理棟』の2階の一室にデスクが移動しました。関係者のみなさまにあっては、ご用がおありの際は、『本館・管理棟』を訪ねてくださいますようお願いします。また、ファックス番号のみ変わりましたので、下記連絡先についてご承知くださいますようお願いします。
おおむね22年くらい、この法人につとめていて、9回目くらいの引っ越しです。新しい建物、新しいお部屋、これまで見知った仲とはいっても、新しいご近所の職員さん方などなど、新しい環境に慣れるのには、まだ時間がかかりそうです。50歳が近くなり、変化に対して何でもフレッシュに、わくわくして受け止める、というわけには、もういかなくなりました。
今日でようやく、最低限の業務を行うことができる体制が整いました。引っ越しが一度に済まず、元のデスクと新しいデスクを行ったりきたりしていましたので、何度も『あれがない!これがない?あれはどこへやった!?』ということが多く、気持ちもあたまもとっちらかってしまったのですが、そんな時に救ってくれたのが、ノートパソコンのデスクトップと、マザーテレサのカレンダーと、故池田里父手作りの、和紙細工の小物でした。ノートパソコンは、どこで開いても整然と、作業中の文書が同じ位置にあり、ほっとします。複数の部署をまたがって勤務している上司や主任たちが、小さなパソコンを持ち歩いているのはこういう理由だったのですね。また、テレサのカレンダーを定位置に置き、日めくりして今日のことばを読むと、これまでと変わらない気分で仕事を始めることができます。また、和紙細工の小物をみると、どやしつけてくれて、励ましてくれた故里父の想い出に浸ることができます。
引っ越しに際して、フォスタリングチェンジプログラムのセッションのひとつ『生活の場所が移る子どもの気持ちを理解する』が思い起こされました。このセッションでは、子どもが家から持ってきた物は、それがどれだけボロボロの人形だろうと大事に扱いましょう、それが子どもにとってどれだけ大事なものかは、里親には推し量ることはできないからです、里親と子どもが一緒に過ごした楽しい時間や、子どもの成長の記録を、極力、写真やビデオに残しましょう、そして、子どもが家に戻るときには、子どもが家から持ってきたものと、里親の家で暮らし、育った記録を丁寧に整理して荷造りし、渡しましょう、といったような内容を扱います。
これらのこころえとは真逆の『想い出をぞんざいに扱われる』ことを体験する、というワークもあります。プログラム参加者が一番大事にしているもの(例:想い出の腕時計とか家族の写真とか、表彰状とか手帳とか)を、決して汚したり壊したりはしないのですが、進行役が乱雑に(フリですが)ぞんざいに扱い(なんと黒いゴミ袋に入れてほったらかすのです!)忘れ去る(フリをする)のです。このワークはとても評判が悪く、参加者の中には、泣き出したり、怒ったりする方もあるそうです。ぼく自身も、このワークを体験したときは、悲しく、わびしく、ポカンとした気持ちになりました。ひょっとしたら、ぼくもホーム勤務のとき、子どもたちをこんな気持ちにさせていたかもしれません。
自分が大事にしているものを、今一度大事に見かえして気持ちをととのえ、またすぐスムーズに、業務をすすめることができるようつとめていきます。
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〒680-0061 鳥取県鳥取市立川町五丁目417
社会福祉法人鳥取こども学園
里親支援とっとり(鳥取県里親会事務局)
TEL:0857-22-4221
FAX:0857-23-0242【FAX番号が変わりました】
E-mail:ssk-tottori@silver.ocn.ne.jp
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2021.02.10
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子育て中の親御さんの、仕事の都合や急な病気、育児疲れなどで、子育てがむずかしくなったとき、数時間や一晩、短期間など、いっとき子どもをあずかる「ショートステイ」「トワイライトステイ」(注1)という取り組みがあります。市区町村がおこなっており、おもに児童養護施設や乳児院があずかります。
全国のうち、いくつかの市区町村では、里親さんも引き受けています。鳥取県でもぜひやろう!というアクションがあり、打ち合わせを重ねたり、試験的に実施したりしていました。鳥取の里親さんに、受け入れのお気持ちを聞くと、やはりというべきか、たくさんの手が挙がります。
この、里親さんがあずかるショートステイ・トワイライトステイについて、来年度から、国をあげて、積極的に取り組むことになりました。「いきなり何年もの長期間、子どもをあずかることには不安がある」という里親さんは多いのですが、まずは、ショートステイ・トワイライトステイの、短時間のあずかりから経験を積む、ということが可能になります。また、さまざまな事情で、自分の家庭で暮らせない子どもたちを里親さんが長期間あずかることは、鳥取県行政のしごとですので、市や町村は、自分の地域に里親さんがいることがなんとなく分かっていても、どういった方なのか、どういった取り組みをしているのかは分からないという現状がありました。しかし今後、里親さんが地域に根付いたお役目をになうことで、地域にもっと身近な存在となります。
古くから、里親さんは、つつましやかに人知れず、子どもの最善の利益のために取り組んでおられ、また、子どものプライバシーへの配慮もあり、『わたしは里親をやっているのだ!』と声高にアピールする方はいませんでした。しかし、里親さんという存在がもっと地域に知られ、地域全体から『ええことしょうられる!感心感心!がんばってつかあさいよ!手伝えることはないかいな?』と応援されるような雰囲気が理想です。
この理想に、いくばくか近づくことを、とても嬉しく思います。
注1
子育て短期支援事業
子育て世代が安心して子育てをしながら働くことができる環境を整備するため、一定の事由により児童の養育が一時的に困難となった場合に児童を児童養護施設等で預かる事業。ショートステイ・トワイライトステイがある。実施主体は地方公共団体(市区町村)。
ショートステイ(短期入所生活援助事業)
保護者の疾病や仕事等の事由により児童の養育が一時的に困難となった場合、又は育児不安や育児疲れ、慢性疾患児の看病疲れ等の身体的・精神的負担の軽減が必要な場合に、児童を児童養護施設等で一時的に預かる。
トワイライトステイ(夜間養護等事業)
保護者が、仕事その他の理由により平日の夜間又は休日に不在となる家庭において児童を養育することが困難となった場合その他緊急の場合において、その児童を児童養護施設等においてあずかり、生活指導、食事の提供等を行う。
2021.01.13