里親支援とっとりブログ | 社会福祉法人 鳥取こども学園 - Part 11社会福祉法人 鳥取こども学園 | Page 11

社会福祉法人 鳥取こども学園は、キリスト教精神にもとづいて創立されました。その基本理念は『愛』です。

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里親支援とっとりブログ

  • 所長就任にあたって

    里親支援とっとり 所長・里親等委託調整員 遠藤 信彦

     

     この春、長年に渡って当所の所長を務めておりました藤野が退任しました。藤野は今後、法人の理事長、当所の顧問として、引き続き当所に関わっていきます。(藤野はいろいろなものの顧問をしています)そして、私、遠藤信彦が所長を拝命しました。私ごとですが、二年前、遠藤という家に婿に入りまして、昨年度末までは「昔の名前で出ています」ということで、旧姓を使用しておりましたが、今年度より「遠藤」を名乗っています。

     「所長」で「遠藤」で、ということで、年度当初より、「この人は一体、誰なんだ!?」と、関係者の皆様を戸惑わせてしまい申し訳ないところですが、その都度「南部町、緑水湖のほとりに遠藤という家がありまして~」と前口上を述べています。久しくご無沙汰している方などは、「あ!吉田さん!おっと、遠藤さん!」と躊躇されますが、その際は、「のぶひこさーん!」と呼んで下されば間違いがありません。

     「しょちょう!しょっちょうさーん!」と呼ばれても、私と、フルタイム勤務の秋口さん、パート勤務の事務員の長代さんの、奥様お二人との、2.2人体制の小さな小さな、入所部門のひとホームより小さな部署の所長です。しかし、長い付き合いの上司からは、「鶏口となるも牛後となるなかれ!(大きい団体の元にいるよりも、独立した小さな団体の長である方がよいということわざ)」と叱咤激励されます。これまで、職名に「長」とつく立場になったことがほとんど無く、力不足であることは重々承知しておりますが、日本の社会的養育が家庭的・家庭中心へと大きく変わっていくこの時代に、このお役目をいただいたことを大変に、誇りに思っております。心を新たに、より一層、業務に邁進する所存です。

     所長室に(そのようなものはないですが)籠もることなく、これまでと変わらず、しょっちょう、皆様のお目にかかりますので、今後とも幾久しくご愛顧くださいますよう、法人ブログをお借りして、お願いいたします。

     


    2018.08.21

  • 池田のお父さんとの想い出

    里親支援とっとり 所長 遠藤信彦

     

     2月に、鳥取県里親会東部部会の事務局を長年務め、会の発展に大きく寄与された池田晴隆里父が、闘病の末、逝去されました。葬儀には、里父の関係者をはじめとして、鳥取県の多くの里親並びに関係機関の職員が参列し、また、県外の里親関係者からも弔電が届きました。

     十年近く前のこと、それまで児童相談所が受け持っていた里親会事務局業務が、里親個人に移管されることになり、大変な引き継ぎの作業がありましたが、自ら進んで引き受けられ、様々な機関とのコーディネートに奔走されました。そして、里親自らが会の活動を企画し、運営することの有用性を、身をもって実証されました。

     里親としての養育、里親会の運営についての功績は語り尽くせませんし、多くの方が知るところですが、僕個人の思い出があります。池田のお父さんとの出会いは7年前、初めて東部部会の総会に出席した時です。たどたどしく当所の業務を説明したところ、「おまえに、本当に里親支援が出来るのか?!わしは思わん!」と机を叩かれるという手荒い洗礼を受けました。その日からというもの、毎日のように来所され「あれはどうなっとる!?これはどうするんだ!?」と詰問されました。様々な事業を一緒に取り組み、都度都度、酒を飲み交わし、意見を交わすにつれ、心置きない間柄になっていました。僕は、こういった行政事務的な業務が初めてでしたので、不備や、配慮が足りないことが多々あり、関係者からお叱りを受け、凹むことも多かったのですが、一年と少し経った頃、このことを話したところ、あれだけ「わしは思わん!」「どうなっとる?!」と詰め寄っていたお父さんが「いや!おまえは!ようやっとる!」と言って下さいました。ずいぶん前のことですが、この時のことは忘れることはありません。

     また、工作にまつわる想い出話がたくさんあります。自動車整備士の経験を活かし、家にいらっしゃる時はいつも、お家のガレージの工房で、何かを作ったり、直したりしていらっしゃいました。

     当法人の、子どものおもちゃや、カウンセリングルームのおもちゃなども直してくださっていました。いつも「古希(こき)をこきつかって!」と駄洒落混じりの不平を言う割に、かなり迅速に修理して下さいました。僕が知っているだけでも、乳児部の職員が泊まり勤務の際に使う電気スタンド、幼児が乗って足で漕ぐ乗り物、降雨の重さに堪えきれず支柱が折れてしまった、バザーやもちつきなどの行事に使うポップアップテントなどなど、枚挙に暇がありません。

     筒状になっていて、底にファンがあり、スイッチを入れると軽い素材で作ったおさかながちょっとずつ上部から飛び出してきて、たもですくうというおもちゃがあったのですが、調子が悪くなり修理を頼んだところ「おい!のぶひこくん!ファンの羽根を3枚から4枚に増やしておいたからな!」とおっしゃるので試してみると、風のパワーが強すぎ、ちょっとずつ、一匹ずつ出てくるはずのおさかなが「ドバッ!」と全匹吹き出し、捕まえる難易度が大変高くなっていたなんて笑い話もあります。

     長年、会長を務めていらっしゃった、「おもちゃの病院」でのエピソードもおもしろかったです。「ぬいぐるみを裁縫して治すスタッフは『外科医』、電子部品のプログラムを書き換えてエラーを治すスタッフは『神経医』とか言うのだぞ」とか、「ある日『外科医』が、小さな女の子がクマのぬいぐるみを治してくださいと持ってきたところ『よしよし!』とばかりに女の子の眼の前で『ガバッ』とぬいぐるみの皮を剥がし、中の詰め物だけにしてしまったら、女の子が、『こんなのわたしのクマちゃんじゃない!』とショックを受け、泣いて帰ってしまった。『外科医』はこのことに反省し、それからは、『外科手術』をする時は、『ではオペ室にはいりまーす』と、子どもの眼から隠すことにしたんだよ」とか、「『神経医』たちは、電子部品をコンピューターに繋いでプログラムを書き換えたりして修理する。わしはネジや歯車なんかが専門だからあいつらがやってるデジタルなことはよくわからん!」などなど、子どもが喜ぶ顔見たさに、ボランティアに勤しむスタッフの方々の熱意とユーモアが溢れていました。

     当法人のバザーでも、「こんなこともやってみよう!あんなこともやってみよう!」と、たくさんの企画を提案されました。本物の弓と矢をミニチュアにして、矢が当たると「パタン!」と倒れる精密な的とのセットで繰り広げられる「射的ゲーム」や、上部にある複数のひもを引っ張ると、ボックスの中から何かしらの景品がランダムでひっぱりあげられる「もうつれんゲーム」は、今やバザー定番模擬店として、毎年多くの子どもが来店します。(ちなみに「ひもが、もつれない」と「もう釣れない」と駄洒落でひっかけてあります)

     こんな話を、僕よりもっと昔の池田里父を知っている、学園を退所された方に聞いたところ、「あの人は何十年も昔から、次は何を作って子どもを喜ばせてやろう!って、やっていた」とのことでした。

     僕も工作を嗜んでいますので、作業を見学していると、「この幼児ちゃんが乗るおもちゃの車は、負荷がかかる部分をもっと補強せんといかん!幼児ちゃんの手にあたって怪我せんよう、隠してアルミの芯棒を入れよう!」「このそうめん流しの竹は、食べるとき子どもが触るから、かどのバリをとっとかないかん!」と、工夫を解説して下さいました。

     九州男児らしい、豪放磊落な物言いに反して、実は、大変細やかに、子どもの育ちと、人と人との関わりを見つめていらっしゃる方でしたので、まるで、隠して芯棒で補強するように、竹のバリを削り滑らかにしておくように、人知れず、たくさんの方を気遣い、間をとりもっていらっしゃいました。

     一人一人と丁寧に、膝を突き合わせて熱く対話されるその生き様は、多くの方から信頼を寄せられました。池田のお父さんの葬儀を執り行った葬儀社は、故人を偲んで短歌を詠みます。池田のお父さんについては

     

    子どもらに

    笑顔と安らぎ与えんと

    熱き想いは 

    仲間の輪広げ

    うたわれました。

     池田のお母さんへの、ほんの短い聞き取りで、たった31文字で、よくぞこんなに、この方の生き様をあらわしたものだと、プロの、胸を打つ、ハートのこもった仕事に感心しました。

     この歌を胸に、残された我々は、使命を全うしたいと思います。

     在りし日の、あの人情溢れるどら声を偲び、学んだ教えにもとるところはないか日々かえりみながら、業務に取り組んでいます。

     

     

     

     

     


    2018.06.01

  • 里親サロンという集まり

     里親支援とっとりは、年間6回、東部・中部・西部各地区で各2回、里親サロンを開催しています。里親さんが集うサロンは、当所が主催する他、里親会がするもの、施設がするものなど、様々な形で開催されています。里親さんは、好きなタイミングで、好きな回に参加します。

     「サロン」とは、もともとは「客間」を意味するフランス語だそうです。それが転じて、同好の人が集まり、自由に談話を楽しむ社交界の風習のことを指すようになりました。文学・芸術など、文化全般について語らうという意味合いもあります。里親さんのサロンでは、真剣な養育の話、社会的養護の在り方などが主な話題ですが、他愛ない笑い話で盛り上がることも多々あります。しかしその中にも、例えば、それぞれの家庭のお正月の、親戚の集まりの様子や、おせち料理のメニュー、作法、お雑煮の種類など、各々のお家の様子が垣間見え、楽しい中に、参考になる話題が散りばめられています。

     里親養育は、公的な役割を担いながら、私的な環境でこどもの養育を行いますので、施設養育とはまた違った、単純に割り切れない悩みが生まれます。しかし、里親仲間と分け合うことで、気持ちが随分と楽になるものです。同じ立場の人が互いに相談するピアサポート・ピアカウンセリングの意味合いも持っています。里親サロンに厳密な決まりはありませんが、「話している方の話を傾聴する」「話し合われたことは他言しない」「特定の人が長く話さない」「人の話を否定しない(肯定的に聞く)」「他人を中傷するような発言はしない」といった「お約束」を心がけています。

     当所が行うサロンでは、必ず「ネタ」(テーマ)を用意しています。これまで、さまざまな「ネタ」(テーマ)とシチュエーションでおしゃべりしてきました。ランチを食べながらおしゃべりしてみたり、「施設職員としゃべろう!」と題して、施設の職員の方に多く参加してもらったり、大きな行事の後、反省会とダベリ会を兼ねてお茶を飲んでみたり。年度末に、一年の里親活動のスライド投影をみながら振り返るなどということもします。

     今度、金融広報アドバイザー(元、鳥取県の社会的養護の要職を務められた方です)を迎え、「こどもたちに伝えたい金融教育『どうする?子どものおこづかい!』」という回を持ちます。(詳しい内容については下記のとおり)

     この間は「福祉司さんとしゃべろう!」と題し、福祉司のみなさんの、日々の業務のご苦労や、大事にしていらっしゃることをお聞きしました。児童相談所にはいくつもの電話の回線があり、ひっきりなしにベルが鳴っていて、電話取次ぎを担当する職員さんが、個々の要件に即してスムーズに対応されるというお話や、職員さんはひと目で児童相談所職員さんと分かる名札をつけているのですが、ケースバイケースで、時と場合により、例えば、虐待通告があった際の訪問などでは外すというお話、保護された子どもを一時的に預かり、生活の様子などをみる「一時保護所」には、おもちゃがあり、テレビゲームもあるというお話など、お仕事の詳細がよく分かる、生のお話をたくさんお聞きすることができました。

     前回のブログにも書いたのですが、子育てについての教えは、座学のみより、肉親、親戚、近所の方、仲間とのおしゃべりによって口伝えられ、意見交換され、熟成されていくものだと思います。

     他愛もない話も含め、和気あいあいとおしゃべりする中で、より良い里親家庭生活が出来るような、元気が出るようなサロンの開催を目指しています。

     


     

    次回西部サロン

    1 日時  平成30年2月23日(金)午後1時半から午後3時まで

    2 場所  米子聖園天使園1階会議室

    3 対象者  鳥取県西部地区里親 児童相談所職員 児童福祉施設職員

    鳥取県庁児童養護担当職員

    4 テーマ  子ども達に伝えたい金融教育「どうする?子どものおこづかい!」

    ※子どもを養育している間、伝えなければいけないことがたくさんあります。『経済観念』もその一つです。金融広報アドバイザーの村田弘子さん(以前に、県の社会的養護部門の、要職を務めていた方です)をお迎えし、幼児期や学童期の頃から、お金や物の価値、働いて手に入れること、生産者や販売者の気持ちなどを知ることの大切さを学び、ざっくばらんにおしゃべりしながら、理解を深めたいと思います。

    ※参加を希望される方は、里親支援とっとりまでご連絡ください。

     

    次回東部サロン

    1.日時 平成30年3月6日(木)午後1時半から午後3時まで

    2.場所 福祉相談センター

            (住所:鳥取市江津318-1 ℡:0857-23-1031)

    3.対象者 鳥取県東部里親・福祉相談センター職員・児童福祉施設関係者・鳥取県庁児童養護担当職員

    4.テーマ 「スライドで振り返る、東部里親の、この一年」

    (※今年度の、東部の里親関係の様々な取り組み、出来事を、多くの写真記録のスライド投影を見ながら振り返ります。イベントに参加された方は懐かしみ、また、なかなか参加できなかった方は、『ああ、こんなイベントがあったんだ!』と様子を知り、おしゃべりする機会にしたいと思います)

    ※参加を希望される方は、里親支援とっとりまでご連絡ください。

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    〒680-0061 鳥取県鳥取市立川町五丁目417
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    里親支援とっとり
    (鳥取県里親会事務局)
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    2018.02.08