里親さんの、『子どもの一時あずかり』
子育て中の親御さんの、仕事の都合や急な病気、育児疲れなどで、子育てがむずかしくなったとき、数時間や一晩、短期間など、いっとき子どもをあずかる「ショートステイ」「トワイライトステイ」(注1)という取り組みがあります。市区町村がおこなっており、おもに児童養護施設や乳児院があずかります。
全国のうち、いくつかの市区町村では、里親さんも引き受けています。鳥取県でもぜひやろう!というアクションがあり、打ち合わせを重ねたり、試験的に実施したりしていました。鳥取の里親さんに、受け入れのお気持ちを聞くと、やはりというべきか、たくさんの手が挙がります。
この、里親さんがあずかるショートステイ・トワイライトステイについて、来年度から、国をあげて、積極的に取り組むことになりました。「いきなり何年もの長期間、子どもをあずかることには不安がある」という里親さんは多いのですが、まずは、ショートステイ・トワイライトステイの、短時間のあずかりから経験を積む、ということが可能になります。また、さまざまな事情で、自分の家庭で暮らせない子どもたちを里親さんが長期間あずかることは、鳥取県行政のしごとですので、市や町村は、自分の地域に里親さんがいることがなんとなく分かっていても、どういった方なのか、どういった取り組みをしているのかは分からないという現状がありました。しかし今後、里親さんが地域に根付いたお役目をになうことで、地域にもっと身近な存在となります。
古くから、里親さんは、つつましやかに人知れず、子どもの最善の利益のために取り組んでおられ、また、子どものプライバシーへの配慮もあり、『わたしは里親をやっているのだ!』と声高にアピールする方はいませんでした。しかし、里親さんという存在がもっと地域に知られ、地域全体から『ええことしょうられる!感心感心!がんばってつかあさいよ!手伝えることはないかいな?』と応援されるような雰囲気が理想です。
この理想に、いくばくか近づくことを、とても嬉しく思います。
注1
子育て短期支援事業
子育て世代が安心して子育てをしながら働くことができる環境を整備するため、一定の事由により児童の養育が一時的に困難となった場合に児童を児童養護施設等で預かる事業。ショートステイ・トワイライトステイがある。実施主体は地方公共団体(市区町村)。
ショートステイ(短期入所生活援助事業)
保護者の疾病や仕事等の事由により児童の養育が一時的に困難となった場合、又は育児不安や育児疲れ、慢性疾患児の看病疲れ等の身体的・精神的負担の軽減が必要な場合に、児童を児童養護施設等で一時的に預かる。
トワイライトステイ(夜間養護等事業)
保護者が、仕事その他の理由により平日の夜間又は休日に不在となる家庭において児童を養育することが困難となった場合その他緊急の場合において、その児童を児童養護施設等においてあずかり、生活指導、食事の提供等を行う。
2021.01.13