こころのエール
「初めてできた挨拶」「笑顔でピカっと輝く挨拶」「喜びを感じられる挨拶」「心配な様子の挨拶」「手を大きく振ってアピールする挨拶」「姿を見つけて呼びかける挨拶」「微かな挨拶」・・・。
教育棟1階の窓口で、いろいろな挨拶に出会います。
子どもたちの挨拶から『こころ』を感じ取ります。『嬉しいことあったのかな。』『大丈夫。大丈夫。心配しないでね。』『挨拶、ありがとう。嬉しいよ。』『元気ですか。元気でね。』と心の中で「あいさつエール」を返します。
わずか数秒の営みですが、貴重な数秒です。挨拶を通して子どもたちの心を感じ取ることができるからです。そして、毎日の子どもたちの姿から、積み重ねられていく一人一人の成長を感じ取り「こころのエール」を送りたくなります。
こんな例がありました。
Aさんは、初めは挨拶が見られませんでした。ある日、体を曲げたまま窓口に近づいて頭を下げるようなポーズを取りました。とっさに「あっ」と思って「さよなら」と返したのが初めでした。『わっ、初めて挨拶してくれた。』と嬉しくなりました。次に来所の時に「こんにちは」と声をかけると、会釈が返ってきました。帰る時の会釈には、手を振って「さよなら」と応えました。そういう状態が、しばらく続いた後、来所時に自分から「こんにちは」と挨拶があり、とても嬉しく思いました。
その後、日を重ねるにつれ、挨拶を通して本人の成長ぶりを感じました。「こんにちは」の挨拶の声が堂々として、巣立っていく頃には力強い足取りへと変わっていきました。この成長ぶりが、とても嬉しくて心からの拍手を送りました。
挨拶は、社会自立に関わっても大切なポイントです。今後、Aさんが、いろいろな人との関係の中で、この挨拶が生きて働くことを願っています。
このように、挨拶には子どもたちの日々の心の動きが表れています。どの子どもたちにも、いろいろな経験の中で喜びがあり悩みがありますが、それらを映し出しているように感じられます。
毎日、わずか数秒の挨拶ですが、子どもの「今」が見えてくる瞬間です。
これからも、子どもの『こころ』を感じ取り、温かな『エール』を送りたいと思います。
2020.10.16