リレーブログ | 社会福祉法人 鳥取こども学園 - Part 8社会福祉法人 鳥取こども学園 | Page 8

社会福祉法人 鳥取こども学園は、キリスト教精神にもとづいて創立されました。その基本理念は『愛』です。

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  • 第48回 🍼マイ哺乳瓶さんの想い出🍼 診療所 こころの発達クリニック 医師 川口孝一

     私は年中になっても、家でまだ哺乳瓶で牛乳を飲んでいました。その事が担任のH先生(幼稚園の先生のお名前は年中担任のH先生しか憶えていません)の耳に入ったようで、ある日先生から「哺乳瓶を持って先生の家に来なさい」と呼び出しがかかりました。哺乳瓶を持って先生のお宅に行くと、今でも憶えている低い天井のくら~い土間で、「もう年中なのだから哺乳瓶は止めなさい」と哺乳瓶を取り上げられました。



     激しく抵抗したわけではないので、「取り上げられた」と言う表現は適切ではないかも知れませんし、その後不安定になることも無かったので、別れの(手放す)時だったのかも知れません。でも私を支えてくれていたであろう大切な「マイ哺乳瓶さん」との別れは、淋しかったのは確かです(エピソード記憶だけでなく感情記憶も残っています)。勿論その事で大好きだったH先生の事が嫌いになることもありませんでした。実は一昨年H先生からお電話がありました。50数年ぶりの(電話でですが)再会でしたが、先生は哺乳瓶のエピソードは忘れておられました。

     病気の症状やいわゆる『問題行動』と言われる行動は、その持ち主にとってはある時期必要なものである事が多いように思います。しかし既に必要がなくなっているのに、まだ残っていると逆に害になります。例えば「食欲が無い」と言う症状は、「胃が疲れているから休ませてくれ」と言っているサインでもあるわけですから、無理やり食べさせられていたらいつまで経っても胃は良くなりません。しかし既に胃は良くなっているのに食欲不振が続くと栄養失調になってしまいます。「症状」を手放す(別れる)タイミングがあるのだと思いますが、その判断は難しいものがあります。

     私は診療場面で、「もう通院は終わりにしても大丈夫でしょう」と治療終結をお伝えするのが苦手です。精神科医は必要が無くなれば忘れ去られないといけない存在ですので(思い出して頂いた時に、「変わらずそこに居る存在(実存しなくなっても)」であるべきなのだろうとは思いますが)、自然消滅的に忘れ去って頂くのを待ってしまいがちになりますが、治療者としてはそれではいけないのだろうと思います。そんな治療者としての私の甘さは、幼稚園の時の「哺乳瓶」さんへの未練が残っているからかも知れませんね。

    PS:👆の写真はマイ着ぐるみ、コリスちゃん(クリスチャンではありません)の『リーちゃん』



    2022.02.04

  • 第47回『あけましておめでとうございます』 社福)鳥取こども学園 理事長・統括施設長 藤野興一

    ① 新約聖書 コリントの信徒への手紙Ⅰ第13章4節~8節

    愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。愛はいつまでも絶えることがない。

    この「愛はいつまでも絶えることがない」が鳥取こども学園の創立の精神であり、運営理念です。

    ② 神様に守られ生かされて、2022年の新年を迎えられますことに感謝し、皆様の格別のご支援に心からお礼申し上げます。昨年4月14日、石井十次生誕の地宮崎県高鍋町にて鳥取こども学園が第30回記念石井十次賞を受賞しました。石井十次賞は私たち施設現場で働く者にとってノーベル賞のようなものです。創立以来117年目を迎える鳥取こども学園、1951(昭和26)年創立から71周年を迎える鳥取みどり園の歩みと歴代の役職員、子どもたち、OB.OGの皆さん、支援くださった本当に多くの方々への神様からの賜物と感謝したいと思います。

    ③ 様々な死線を潜り抜けてたどり着く子ども達もけなげに生きています。歴史の未来である子どもたちに真っ赤に燃える太陽のように輝いて歩んでほしいと祈ります。誰にも受け止めてもらえず、孤立し絶望した人たちによる「無差別殺人事件」が繰り返されています。何としても事前に食い止めねばなりません。常に「人間の尊厳と人権」は守られねばならないのです。
    ④ 日本の社会的養護は慈善事業の時代から、制度があろうが無かろうが目の前の小さくされた生身の人間の命に寄り添い続けてきました。今一度民間社会事業の原点に立ち帰りたい。欧米の破たんした制度ではなく、民間社会事業の献身性と専門性を活かした「日本型社会的養護」の構築が急がれます。現場実践の積み上げの上に、当事者に寄り添い、当事者と共に「日本独自の社会的養護」を創り上げたいと思います。
    ⑤ 「子どもアドボカシー」や子ども庁創設などが議論されていますが、「守ってあげる」ではなく、子どもと一緒に議論すべきです。子どもが声を出して、何か変化が起こっていくことが子どもアドボカシーで、その先の「権利ベースの文化」を目指すべきです。


    2022.01.15

  • 第46回🍎リンゴ狩りに行きました🍎 児童心理治療施設 鳥取こども学園希望館 総括看護師 竹森 香理

    コロナ第5波が落ち着き穏やかな日常が戻りつつありますが、感染症が再拡大しないよう予防対策をしながら、小学生の活動グループ【小学生会】を開催し、思いっきりリンゴを食べてきました。

    この希望館【小学生会】は平成20年から始まっており、今年で13年目を迎えています。年度初めに子どもたちと日勤スタッフがやってみたいことを話し合い、なるべくそれに沿うようにと思考を凝らし、月1回ほどのペースで企画し活動しています。やりたいことがたくさんあって、中にはディズニーランドやUSJに行きたいなっていう要望も!行けるといいのですが・・・。

    そして11月は子ども希望のリンゴ狩りに行きました。
    リンゴ園ではお店の方から、“楽しく、おいしく食べるために”とルール説明がありみんなが真剣に聞いていたのが印象に残りました。
    針金が張ってあり、危ないのでリンゴ園の中は走らないこと。
    美味しそうだなと採ってみたものの、傷んでいて食べられないリンゴも、ジュースやジャムなどほかの使い道があるから捨てないでねと話されました。(なるほど!)
    子どもも大人も、ルールを守りながら、好みのリンゴを早々と見つけ丸かじり!(強靭な顎力を持つのは誰?)。皮を剥いたリンゴを食べたがる子やリンゴのヘタと種だけを残し全部食べちゃう子、6個も食べたでと自慢する子(6個と言ってもちっちゃなリンゴなんですが~と突っ込みを入れたくなる気持ちを抑えつつ・・・(笑))、リンゴの実のそばに花が咲いているのを見つけ、「へ~、リンゴの花ってこんな花なんだ。」と感心したり、「来年は中学生だからこのメンバーでは最後のリンゴ狩りだな。」としみじみと言葉にする子どもがいたり。「なんで、横向きに針金が張ってあるの?」「なんで枝を横向きにはわせるの?」と尋ねてきたり。「どのリンゴにも陽が同じように当たって美味しくなるようにしてるんだと思うよ」と返すと、「へ~、そうなんだ~」と。
    こんな感じで、みんなが青空の下思い思いにリンゴ狩りを満喫していました。

    小学生会の一年の活動を通じて、子どもも大人も、移り変わる四季をからだ全体で感じながら、「へ~、そうなんだ。」と共に感じ合い、一つひとつの体験が素敵な思い出になればいいなと思います。今回も、にぎやかな子どもたちの声を聴きながら“癒され時間”を頂いちゃいました。子どもたちとの集合写真は老後の楽しみ(?)にしようとシャッターを切りました。

    次回は12月。寄付でいただいたさつま芋を使って、焼き焼き大会を開く予定です。
    食べること、遊ぶことが大好きなみんな。きっと盛り上がりますよね。


    2021.12.02