リレーブログ | 社会福祉法人 鳥取こども学園 - Part 20社会福祉法人 鳥取こども学園 | Page 20

社会福祉法人 鳥取こども学園は、キリスト教精神にもとづいて創立されました。その基本理念は『愛』です。

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  • リレーブログ 第12回 地域若者サポートステーション 星見所長

     地域若者サポートステーション、通称「サポステ」は15歳から39歳の若者等で就労、修学及び職業訓練の受講のいずれもしていない方を就職に結びつくよう支援を行っています。サポステは全国に160カ所あります。
     若年無業者。ニートといわれる若者は、平成27年版子供・若者白書によると、15~34歳で56万人に上ります。この数字は鳥取県の人口と同じです。サポステの支援対象者である35~39歳の年齢層を加えると76万人にもなります。
    サポステとっとり サポステよなご
     少子化により労働人口が縮小していくなかいろいろな施策がとられていますが、9月11日に国会で「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律」が成立しました。テレビや新聞の報道でご存じの方も多いと思います。
     同じ日に可決成立した法案の中に、サポステに関係するものもありました。
    勤労青少年福祉法等の一部改正が行われ、勤労者青少年福祉法の題名が改められ、「青少年の雇用の促進等に関する法律」となったのです。

    • 青少年の雇用の促進等に関する法律(一部を抜粋)
       (職業生活における自立の促進)
      第23条 国は、就業、修学及び職業訓練の受講のいずれ もしていない青少年であって、職業生活を円滑に営む上での困難を有するもの(次条及び第二十五条において「無業青少年」という。)に対し、その特性に応じ た適職の選択その他の職業生活に関する相談の機会の提供、職業生活における自立を支援するための施設の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければ ならない。
       第24条 地方公共団体は、前条の国の措置と相まって、地域の実情に応じ、無業青少年の職業生活における自立を促進するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

       この法律で国の責務として無業青少年の職業生活の自立を支援するために必要な施設を整備しなさいとしています。その必要な施設とは「地域若者サポートステーション」を指しています。ニートの若者を支援してきたサポステが重要な支援の機関として認められたということは大変意義深いものがあります。
      鳥取県には「とっとり若者サポートステーション」が鳥取駅南口にある鳥取フコク生命駅前ビル一階に,「よなご若者サポートステーション」がイオン米子駅前店四階にあります。皆様もお気軽にお立ち寄り下さい。


    2015.09.17

  • リレーブログ 第11回 地域小規模児童養護施設 前田ブロック長

    平成27年4月1日に3つ目の地域小規模児童養護施設「かつらぎの家」を開設しました。
    わたしは、3つの地域小規模児童養護施設ブロックのブロック長、また、新設の「かつらぎの家」のホーム長としてスタートすることになっていました。しかし、初日の4月1日に急病で倒れ手術、入院となり3ヶ月休ませていただきました。年度初めの現場はどんなに動揺したことでしょう。本当に迷惑をかけました。という簡単な言葉では済まされないぐらいの大変な日々を子どもたちと職員に押しつけてしまいました。
    でも「わたし」がいなくても現場はまわるんです。(ひねくれて言っている訳ではなく)
    皆、やってくれるんです。出来るんです。大丈夫。その様に自分に言い聞かせて休養していました。実際、皆よくやってくれています。感謝します。
    また、感謝と言えば、倒れたのは職場(本園事務所内)だったんですが、皆さんの判断力、行動力に救われました。当日、その後の優しい心づかい、真心に感謝です。皆さんのおかげで今こうして生きていることができています。

    今、わたしは3つの地域小規模児童養護施設の家をフラフラと巡っています。各家の職員の相談役だったり、必要に応じて各家に行かせてもらっています。ひっかきまわしているところがあるかもしれませんが。

    ある家の小1の女の子の笑顔がいいんです。ニンマリ(?)カッーと笑う(?)いやいや、どう表現したら良いのかわからないぐらいの笑顔です。純粋で一生懸命の笑顔でこちらもうれしくなります。この笑顔を守っていきたいものです。

    ある家は3月末までいたところです。やはり、親しみもあり、ホッとする家です。3月末までの立場と今の立場は少し違い客観的にみています。毎日の生活の先入観をなくして接してみようと思っています。この様な立場の人間も必要かと勝手に自分の存在価値を見出そうとしています。

    ある家は職員が「いつ来ますか?最近来てないですよね。。。」と声を掛けてきます。今は必要とされてますが、だんだんと煙たがられるのかと。これも、わたしの仕事かと。

    あっ、地域小規模児童養護施設の説明がありませんでしたね。地域小規模児童養護は家庭的環境を子どもに提供していくこと、施設本体の役割を地域に開かれた形にしていくことを目的に開設しました。本園の小規模ユニットが、そのまま地域の一軒家にやってきたのです。子どもの定員は6名、職員は3人+食事支援の方1名のグループホームです。小学校、中学校は地域の学校へ通学しています。子ども会、地域行事の参加をして交流をしています。地域の方々が児童養護施設や、そこでくらす子ども達をより良くへの理解していただける様努力しています。


    2015.07.29

  • リレーブログ 第10回 「さとせん」のお仕事 乳児部 清水(里親支援専門相談員)

    「今日は、初めてサトちゃんと会った日なんです。」。

     久しぶりに電話をかけてきたサトちゃんの里親、藤本さん夫妻の言葉です。私が覚えていたのは、サトちゃんの誕生日とサトちゃんが乳児部から藤本さんの家に引っ越しをした日でした。藤本さん夫妻にとっては、初めて出会った日がとても大切な記念日だったのですね。驚きました。そして、記念日が、決して藤本さん夫妻にとって楽しく、明るい未来を想像できるドラマチックな出来事ではなかったことも思い出しました。

     初めて藤本さん夫妻に出会ったサトちゃんは、手をつなごうと近づく夫妻から逃げだしました。それでも藤本さんが手を握ろうとすると振り払っていました。一緒にお散歩に出かけたのは良いのですが、藤本さんから距離をとり一人だけ先に先に歩いていきました。藤本さん夫妻に見えるサトちゃんは、後ろ姿か、ぷいっと視線をそらす横顔ばかり。まるで、「この人は知らない人!そんなに見ないで」、「私になれなれしくしないで」と言わんばかり手と手の態度でした。

     初めての出会いがこんな様子でしたから藤本さん夫妻のショックは相当のことだったと思います。こんなに邪険にされたら夫妻の心が折れてしまうのではとハラハラしましたが、夫妻は「また会いに来ます」と笑顔の即答でした。

     それからは、藤本さん宅での同居開始を目標にして、サトちゃんと藤本さん夫妻が出会う度に乳児部や子ども家庭支援センターのスタッフ、藤本さん夫妻とも何度も何度も話し合いを重ねました。学園周辺のお散歩から始め、地域の公園、ショッピングモール等々へと何度も何度もお出かけを重ね、やっと藤本さん宅への一泊お泊まりにたどり着いています。

     子どもの発達課程で愛着形成に重要でない時期はありません。サトちゃんのお世話をしている乳児部のスタッフには、サトちゃんが人見知りをすることは、喜ばしいことです。ですから、健康に成長しているサトちゃんのことを思うと、藤本さん夫妻との出会いの日、いわばマイナスからの出会いにこそ価値があり、サトちゃんと藤本さん夫妻の記念日として大事にしてくれていることがわかり嬉しく思いました。そして、半年以上の準備を重ねて、サトちゃんと御夫妻の生活が始まって、記念日が訪れています。藤本夫妻は、サトちゃんが「可愛くて可愛くて仕方ない」という風情です。サトちゃんもすっかり、藤本家の一員となってい姿を見るとこの仕事をしていて良かったと思えるのです。

     里親登録申し込みの後に養育里親基礎認定前研修で施設実習があります。先日、ご夫婦で里親登録を希望されている鈴木さんの実習を乳児部で受け入れました。子どもたちが人見知りすることを予想して、あらかじめ鈴木さん夫妻に心構えをしてもらいました。鈴木さんの腕に抱かれてすやすやと眠る子、もうこれ以上行けないという部屋の隅まで鈴木さんと距離を取ろうとする子、乳児部スタッフのそばから少しずつ離れて鈴木さんとかかわろうとする子など様々でした。実習を終えた鈴木さん夫妻の感想は、「人見知りをするものだとは聞いていたが、ここまでとは思わなかった。」、「想像していた施設、想像していた施設の子どもとは全く違った。」、「職員も子どももみな幸せな暮らしをしていることがわかった。」、「そんな子どもに、里親として何ができるのか考えると不安に思う」とのことでした。

     里親支援専門相談員の仕事を始めて、4年目を迎えました。子どもと里親との関係は、「縁」、「運命」、「相性」まかせにして語られるものではありません。適切な支援と子ども・里親・職員の創意工夫と努力によって、関係が成長・発展していくのであるということをサトちゃんと藤本さん夫妻から学びました。

     サトちゃんの気持ちを想像すると

     ◎「全力で拒否期」(あなたはだあれ? わたしになにをしようとしているの?)

     ◎「安心できる大人発見期」(わたしにわるいことはしないのだなぁ!)

     ◎「特別な存在発見期」(わたしのことをだいすきなんだ!わたしも、だいすき!)

     こんな感じではないでしょうか?

     私達のいままでのやり方は、子どもの注目を里親に向けるための方法として、それまでの養育者とのつながりを「切って」、そのつながりを里親に「つなぐ」という方法でしたが、うまくいったケースばかりではありません。

     「切って」、「つなぐ」やり方がなかなかうまく行かないのは、これまでの養育者と子どもが「つながっている安心」を切り捨ててしまうので、子どもは安心して新たな養育者を発見するのが難しくなるのではないでしょうか。「切って」、「つなぐ」のではなく大切な人との関係を「つないだまま」、「つなぐ」のが子どもにとって安心とともに里親を養育者として選ぶことが可能になるのだと思います。

     里親と「さとせん」やお世話をするスタッフは、子どもの安心や特別感を引き出す演出を一緒に考え、協力することが必要です。藤本さん夫妻には、サトちゃんとの関係を育む中でたくさんの葛藤があったことと思います。同じようにサトちゃんにも大きな葛藤があったのでしょう。この葛藤を受け止めながら子どもの気持ちを汲み取り、寄り添おうとするかかわりそのものが、子どもに伝わり、劇的な関係の成長をもたらしたのだと思います。手から手へ

     実習で初めて子どもの人見知りを経験した鈴木さんご夫婦も、近い将来、里親として別のサトちゃんと出会う日が来るでしょう。「さとせん」が出会い、見守ってきたサトちゃんと藤本里親の物語を伝えながら、子どもが里親を特別な存在として発見していく過程を応援したいと思っています。

     

     私たち里親支援専門相談員は、東部里親会や里親支援とっとりと協働して、里親制度の普及啓発活動に力を入れています。施設職員である私たちが里親を語ることは、支援を必要としている子どもたちのこと、その子どもたちの受け皿である施設の役割を語ることでもあります。施設と里親がいい協力関係を築いていくことは、子どもたちの未来の選択肢が広がることにつながると信じて、この普及啓発活動も続けて行きます。

    皆様の御理解と応援をお願いします。(文中のお名前は仮名です。)

    鳥取こども学園乳児部 里親支援専門相談員 清水暁子

    里親制度のこと 里親支援とっとり


    2015.06.24