リレーブログ | 社会福祉法人 鳥取こども学園 - Part 16社会福祉法人 鳥取こども学園 | Page 16

社会福祉法人 鳥取こども学園は、キリスト教精神にもとづいて創立されました。その基本理念は『愛』です。

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  • 第20回「新しい社会的養育ビジョン」を読む 理事長 藤野興一

    「新しい社会的養育ビジョン」についての意見
         ~乳幼児の権利を守るために~

    「新たな社会的養育の在り方に関する検討会」(座長:奥山眞紀子 国立成育医療研究センターこころの診療部長)では、このほど、「新しい社会的養育ビジョン」をとりまとめ公表されました。

     様々な議論がある中で「新しい社会的養育ビジョン」(8月2日決定版)を基にして意見をお届けします。

    ① 8月1日のマスコミ各紙は、「特別養子縁組を5年で倍増。」、「小学校入学前の子どもについては、原則施設入所は停止する。」、「乳児院は入所施設としての役割を縮小し里親・養父母支援へ移行。」、「3歳未満は5年以内、それ以外の未就学児については7年以内に里親委託率を75%以上とし、学童期以降は10年以内に50%以上とする。」などと報道しました。

    ② 更に、8月2日の検討会で、子どもの意向尊重、養子縁組、特に特別養子縁組促進、「代替養育」に「施設養育に求められる高度な専門性」等を加えて、施設現場への配慮を示しながらも、数値目標等については「要約編」のみに掲載されていたものを全て本体部分にも書き込み、「乳児院の多機能化・機能転換を進めるための」プロジェクトチーム、及び「フォスタリング機関事業実施のための」プロジェクトチームを作ることとした上で、正式なビジョンとしています。

     全国乳児福祉協議会や全国児童養護施設協議会は、「乳幼児総合支援センター」や「日本型社会的養護」を提唱しています。この視点で、今回発表された「新しい社会的養育ビジョン」を評価をします。全文は、下記のリンクをクリックしてください。皆さまからの御意見をお待ちしています。

     「新たな社会的養育ビジョン」についての意見(全文)PDF

     新しい社会的養育ビジョン(厚生労働省HP)はここをクリック

     


    2017.08.16

  • 第19回「園長就任のご挨拶」 鳥取こども学園 園長 田中佳代子

    児童養護施設 鳥取こども学園の施設長を前園長 
    藤野興一に代わり4月より就任しました田中佳代子と申します。

    藤野前園長が指導員として鳥取こども学園に戻られた翌年から、田中も鳥取こども学園に勤務させていただき、いつも後ろ姿を見て子どもへ向き合う気迫を感じておりました。子どものためには、寝る間も厭わない。子どもの為には、法の許す限りぎりぎりのところまで対応してゆく。制度がなければ制度を創る。等

    「子どもも職員も、鳥取こども学園という大きな家族であり、一人ひとりが大切な存在で、必要とされない人は一人もいない。」と藤野前園長は常日頃より言っておりました。私も子どもたちとの暮らしのなかで、数々の失敗を重ねながらも、必要な人として藤野前園長はもちろんのこと、子どもたちや職員・出身者に支えられてここまで歩ませていただいたことに改めて感謝をしています。

    今年も、鳥取こども学園前の桜土手がきれいに咲き誇っています。
    毎年、4月を迎える度に心新たにしてスタートを切っている私ですが、今年は藤野前園長の後任ということで、一層身のしまる思いで桜を眺めております。

    11年前、鳥取こども学園に乳児院を併設するということで児童養護施設から異動し、右も左もわからない状況のなか、乳児院の施設長を勤めさせていただきました。年を重ねるごとに職員や関係者の皆さま・子どもたちや保護者のおかげで形が整い、乳幼児の笑顔に癒されながら日々を送れることが喜びでした。癒されながら、鳥取こども学園を去ることができると内心喜んでいたのですが、この度藤野前園長が理事職に専念して法人全体の見守りをすると強い意志表明をされたことにより、後任を任されることになりました。

    藤野前園長は、鳥取こども学園の子どもや職員のことのみに固執せず、鳥取県内施設の子どもへの寄り添いのレベルアップを手掛け、しいては全国の社会的養護の子どもたちに同じ寄り添いが出来ることを望み、全国児童養護施設協議会の会長を二期務めました。子どものために全身全霊を注いできた藤野前園長の足元にも及びませんが、力まず、私なりに鳥取こども学園の職員や子ども達を見守ってゆきたいと思います。

    「最後まであきらめず、子どもを信じ続けること」

    私が鳥取こども学園に勤めさせていただいたときより信念としているこの言葉をもう一度胸に刻み、鳥取こども学園が時代を超えて守ってきた「愛」の精神を次世代につなぐ役目が少しでも果たせられたらと思います。

    110年の歴史を持つ鳥取こども学園が地域の一員として今あるのは、ほかでもない、関係者の皆さまや地域の皆さまの多大なるご理解とご協力の賜物です。田中はまだまだ未熟もので至らないことも多々あるとは思いますが、鳥取こども学園は今後も皆様のご理解とご協力のもと歩ませていただきたいと思いますので、変わらぬご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。

     


    2017.04.17

  • 第18回「ソーシャルワーク・ケアワークのスーパーバイザー」

     「山口県子どもソーシャルワーク研究会」から講演のご依頼をいただきました。いただいたテーマは「社会的養護関係施設における職員育成 ~スーパービジョン~」というものです。「事前にレジュメをください。」とのことで考えてみましたが、項目を提示するには、全体のデザインが必要でなかなかうまくまとまらず、思い付きをメモしてレジュメとしました。

     なかなか面白い文章が書けたのでリレーブログに掲載させていただきます。


    「ソーシャルワーク・ケアワークのスーパーバイザー」
    そもそも「スーパービジョン」って何なのよ。スーパーバイザーっていうけど、どんな人がスーパーバイザーなんですかね。「スーパーバイザー」は役割、役職なの?、それとも機能とか能力なの?。

    でもね、スーパーバイジーが「この人がスーパーバイザーなんだ」って選ぶことが出来るのなら、良いスーパーバイザーとそうでないスーパーバイザーを振り分けることは出来るけど、スーパーバイザーが「私は良いスーパーバイザーです。」って自分で言うのは、信用して良いのだろうか?。企業なら「あの人がスーパーバイズをすると売り上げがアップした」なんて目に見える成果で評価をすることが可能ですよね

    スーパーバイザーに1級とか初段とかのランキングがあって、1級の人はこうこう、初段の人はこれ、達人になったらこんなことが出来るって決まっていると分かりやすいのだけど、スーパーバイザーの良し悪しなんて、決められないし、もしも決められるのならやっぱりスーパーバイジーが決めることになる。それにその仕事で利益を得る人が決めるってこともありそうです。

    子どもには、元々備わっている機能があるのだけど、ひとつは「認知する力」。外界の出来事を自分の中に取り入れて、自分を高めることです。もうひとつは「感動する力」です。「ああそうか!」って納得したり、理解する力。つまり「Aha!反応」ですね。そして最後が「学ぶ力」です。学ぶと勉強は違っているのだけど、子どもはいろんな場面でいろんなことを学んで自分の世界を拡げてゆくことができるのです。

    三つの機能は、すべての子ども、赤ちゃんにも重度の障害児にも必ず備わっているのです。赤ちゃんや障がい児に特別な配慮が必要なのは、この三つの機能を自覚して発揮して欲しいからなんです。何かが出来るようになるとかそれが継続して、成長して行くってことは、この三つの機能が備わっているから、それを周囲の大人が認めているから可能なことで、喜びのない訓練や練習を強制しても、なかなか身につかないのは、当然のことです。

    それともうひとつ「順位のない競争」っていうのだけど、子どもは誰か他の人、大人も含めて、自分が見たり聞いたり感じたりしたときに「僕もやってみたい」とか「私ならこうするのに」って誰かと競争するんですよね。それってどっちが上とか下とかがないから、「順位がない」のです。これはとても大事なことなんです。(1997年 鳥取大学 若狭蔵之助)

    この三つの機能と「順位のない競争」は、子どもだけのものかというとそんなことはなくて、大人だって同じなんだと思う。だって認知や感動、学びがなかったら大人は大人のままで成長しないことになる。仕事だからって手順を覚えりゃいいってものじゃない。先輩がやっていることをそのままコピーするのなら、いろんなお仕事がいつかはロボットに取って代わるか、すごく細かいマニュアルがあれば良いのです。

    もしも、あなたの同僚や上司、部下・後輩が認知する力や感動する力、学ぶ力がないなんてことはないけど、ちょっとおかしいっていう人はいると思う。そういう人にスーパーバイズをしても、なかなか難しい。スーパーバイズが指示・命令になってしまうのじゃないかなぁ。

    役割や機能で鵜呑みにせず、いろいろな取り組みを認知して、感動して、学びそして「自分のやって見たい」と思えるようなスーパービジョンは、素晴らしいスーパーバイズだと思う。でも、世間ではスーパーバイザー研修ってのはあるけど、スーパーバイジー研修ってのは聞いたことがない。これってスーパーバイザーの養成はするけどスーパーバイジーの養成はないってこと。

    ところが実際には、良いスーパーバーザーよりも良いスーパーバイジーが必要であって、いい加減なスーパーバイズでも、素敵なスーパーバイジーがいれば良いんだと思う。じゃあ、良いスーパーバイジーになるにはどうしたら良いのかってことになるけど、やっぱり良いスーパーバイズを受けることが重要。これって卵が先かニワトリが先かって話になるけど、スーパービジョンとかスーパーバイズってのは、特定の役割の決まったスーパーバイザーのものじゃないから、スーパーバイジーは、いろんなスーパービジョンを受け止めて「認知する力」と「感動する力」、「学ぶ力」を総動員して順位のない競争に臨むってこと。

    良いスーパーバイジーは、素敵なスーパーバイザーになれるのじゃないかなぁ。

    でも、実際にはこんなうまく行きやしないのは誰もが知っている。

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     とても中途半端な終わり方ですが、山口県子どもソーシャルワーク研究会の会合 平成28年10月30日(日)で続きをお話しします。

    20161017 Rainbow

    鳥取大学で見つけた午後の虹です。

    鳥取こども学園希望館 西井啓二


    2016.10.18