第55回 🌸3月、春爛漫🌸 児童養護施設 鳥取こども学園 副園長 田村千亜紀
今年もこの季節がやってきました。
春、桜の季節です。
眼前に見事な桜並木の連なる鳥取こども学園に勤めるようになって20年超、日本の樹としてシンボリックでありながら(だからこそ?)たんぽぽやチューリップのような親近感や生活感のうすい桜ですが、学園にいると年に一度の桜色の季節が贅沢にも生活の一部となり、毎年満開の桜に言葉にならない幸福感を味わいます。
そして桜は、出会いと別れも運んできます。
今月は多くの子どもが卒業などの節目を迎え、その中の数人の子どもが学園を巣立っていきました。
今年度最後の養護の職員会は、私の手違いで急遽体育館開催となり、いつもと様子の違う円陣形式で一年を振り返り、退職者に餞の言葉を送りました。
副園長という大役をいただいて一年になります。
当初は「何も変わらないよ」と思っていましたが“立場”とはよくいったもので、立つ位置が変わると目に映る景色が本当に変わるのです。それをこれほど実感した時間はこれまでありませんでした。
そしてコロナ禍で人との関わりが希薄になって3年、「子どもも大人も人の中で生きているんだな。関係性の中で育っていくんだな」ということも改めて痛感しました。
桜の花言葉は『精神美』、目に見えるものや形あるものは時間と共に変化しますが、美しい桜並木のもたらす幸福感が私の心を豊かにするように、鳥取こども学園で過ごした時間がここを巣立つ子どもや大人のこれからの人生を豊かにしてくれたらと心から思います。
4月、桜は散りますが、新しい一歩を踏み出していきましょう。
2023.03.28