第18回「ソーシャルワーク・ケアワークのスーパーバイザー」 | 社会福祉法人 鳥取こども学園社会福祉法人 鳥取こども学園

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リレーブログ

第18回「ソーシャルワーク・ケアワークのスーパーバイザー」

 「山口県子どもソーシャルワーク研究会」から講演のご依頼をいただきました。いただいたテーマは「社会的養護関係施設における職員育成 ~スーパービジョン~」というものです。「事前にレジュメをください。」とのことで考えてみましたが、項目を提示するには、全体のデザインが必要でなかなかうまくまとまらず、思い付きをメモしてレジュメとしました。

 なかなか面白い文章が書けたのでリレーブログに掲載させていただきます。


「ソーシャルワーク・ケアワークのスーパーバイザー」
そもそも「スーパービジョン」って何なのよ。スーパーバイザーっていうけど、どんな人がスーパーバイザーなんですかね。「スーパーバイザー」は役割、役職なの?、それとも機能とか能力なの?。

でもね、スーパーバイジーが「この人がスーパーバイザーなんだ」って選ぶことが出来るのなら、良いスーパーバイザーとそうでないスーパーバイザーを振り分けることは出来るけど、スーパーバイザーが「私は良いスーパーバイザーです。」って自分で言うのは、信用して良いのだろうか?。企業なら「あの人がスーパーバイズをすると売り上げがアップした」なんて目に見える成果で評価をすることが可能ですよね

スーパーバイザーに1級とか初段とかのランキングがあって、1級の人はこうこう、初段の人はこれ、達人になったらこんなことが出来るって決まっていると分かりやすいのだけど、スーパーバイザーの良し悪しなんて、決められないし、もしも決められるのならやっぱりスーパーバイジーが決めることになる。それにその仕事で利益を得る人が決めるってこともありそうです。

子どもには、元々備わっている機能があるのだけど、ひとつは「認知する力」。外界の出来事を自分の中に取り入れて、自分を高めることです。もうひとつは「感動する力」です。「ああそうか!」って納得したり、理解する力。つまり「Aha!反応」ですね。そして最後が「学ぶ力」です。学ぶと勉強は違っているのだけど、子どもはいろんな場面でいろんなことを学んで自分の世界を拡げてゆくことができるのです。

三つの機能は、すべての子ども、赤ちゃんにも重度の障害児にも必ず備わっているのです。赤ちゃんや障がい児に特別な配慮が必要なのは、この三つの機能を自覚して発揮して欲しいからなんです。何かが出来るようになるとかそれが継続して、成長して行くってことは、この三つの機能が備わっているから、それを周囲の大人が認めているから可能なことで、喜びのない訓練や練習を強制しても、なかなか身につかないのは、当然のことです。

それともうひとつ「順位のない競争」っていうのだけど、子どもは誰か他の人、大人も含めて、自分が見たり聞いたり感じたりしたときに「僕もやってみたい」とか「私ならこうするのに」って誰かと競争するんですよね。それってどっちが上とか下とかがないから、「順位がない」のです。これはとても大事なことなんです。(1997年 鳥取大学 若狭蔵之助)

この三つの機能と「順位のない競争」は、子どもだけのものかというとそんなことはなくて、大人だって同じなんだと思う。だって認知や感動、学びがなかったら大人は大人のままで成長しないことになる。仕事だからって手順を覚えりゃいいってものじゃない。先輩がやっていることをそのままコピーするのなら、いろんなお仕事がいつかはロボットに取って代わるか、すごく細かいマニュアルがあれば良いのです。

もしも、あなたの同僚や上司、部下・後輩が認知する力や感動する力、学ぶ力がないなんてことはないけど、ちょっとおかしいっていう人はいると思う。そういう人にスーパーバイズをしても、なかなか難しい。スーパーバイズが指示・命令になってしまうのじゃないかなぁ。

役割や機能で鵜呑みにせず、いろいろな取り組みを認知して、感動して、学びそして「自分のやって見たい」と思えるようなスーパービジョンは、素晴らしいスーパーバイズだと思う。でも、世間ではスーパーバイザー研修ってのはあるけど、スーパーバイジー研修ってのは聞いたことがない。これってスーパーバイザーの養成はするけどスーパーバイジーの養成はないってこと。

ところが実際には、良いスーパーバーザーよりも良いスーパーバイジーが必要であって、いい加減なスーパーバイズでも、素敵なスーパーバイジーがいれば良いんだと思う。じゃあ、良いスーパーバイジーになるにはどうしたら良いのかってことになるけど、やっぱり良いスーパーバイズを受けることが重要。これって卵が先かニワトリが先かって話になるけど、スーパービジョンとかスーパーバイズってのは、特定の役割の決まったスーパーバイザーのものじゃないから、スーパーバイジーは、いろんなスーパービジョンを受け止めて「認知する力」と「感動する力」、「学ぶ力」を総動員して順位のない競争に臨むってこと。

良いスーパーバイジーは、素敵なスーパーバイザーになれるのじゃないかなぁ。

でも、実際にはこんなうまく行きやしないのは誰もが知っている。

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 とても中途半端な終わり方ですが、山口県子どもソーシャルワーク研究会の会合 平成28年10月30日(日)で続きをお話しします。

20161017 Rainbow

鳥取大学で見つけた午後の虹です。

鳥取こども学園希望館 西井啓二


2016.10.18