リレー 第1回 「年頭あいさつ」 鳥取こども学園 常務理事 藤野興一
神様に守られ、生かされ、多くの人々に支えられて、子どもたちと共に2015年の新年を迎えられましたことに心より感謝申し上げます。鳥取こども学園は、1906(明治39)年1月13日創立以来、幾多の風雪を経ながらも、無事戦後70年、109年目を迎えることが出来ました。
特に今年の正月は、情短施設「鳥取こども学園希望館」の改築工事4ホーム部分が完成し、12月26~28日に、「わかば」、「こばと」、「のぎく」、「しらゆり」の4ホームの子どもたちが引越しし、新しい建物で新年を迎えることが出来ましたことは、この上ない慶びであります。
学園にたどり着く子どもたちも厳しい道をけなげに生きています。歴史の未来である子どもたちに真っ赤に燃える太陽のように輝いて歩んでほしいと願います。
しかし、私たち大人の非力を痛感します。児童虐待は昨年73,000件に昇り、この少子化の時代に、児童養護施設、里親、乳児院などの社会的養護施設は満員で、47,000人もの子どもたちが生活しています。施設に繋がっている子どもはまだましで、多くの子どもたちが巷に放置され、3日にひとりの虐待死事件が報道されています。
私は、鳥取こども学園の職員や子どもたちの協力を得て、全国児童養護施設協議会会長に就任し、社会的養護の量の拡充と質の改善を求めて精一杯の歩みをしていますが、制度改革は遅々として進みません。職員配置基準の引き上げをはじめとして、制度改革が進まない中でも、子どもたちの人権は守られねばなりません。
鳥取こども学園の歩みは今まで、「制度にあろうがなかろうが、子どものためなら何でもやろう」とする歩みを続けてきました。次々と建物を建て、制度ではまだ認められない数の職員を雇い、民間社会事業の先駆性・献身性の復活を掲げて歩んできた結果、極めて苦しい経営を余儀なくされています。
今、希望館改築に当たり、五千万円を目標として寄付募集をしていますが、2014年末現在、約1,700万円集の募金をいただきました。本当に多くの方々に頭の下がるご協力いただき、心よりお礼申し上げます。目標達成まで引き続きのご支援を伏してお願い申し上げます。
2015年を、私たち自身が輝いて生き、子どもたちに生まれてきてよかったと思える世界を残すことが出来るよう、歩みたいと願い、祈ります。
「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心にかなう人にあれ。」 (ルカ:2-14)
2015年正月
法人常務理事・園長 藤野興一
2015.01.05