リレーブログ | 社会福祉法人 鳥取こども学園社会福祉法人 鳥取こども学園

社会福祉法人 鳥取こども学園は、キリスト教精神にもとづいて創立されました。その基本理念は『愛』です。

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  • 第69回 『🍎おいしいものが食べたい🍏』幼保連携型認定こども園 鳥取みどり園 園長 西垣 恭子

     園の畑や園庭に設けた袋の畑で四季折々の野菜を育て、食すことを楽しんでいる本園の子どもたち。給食の先生が作ってくださる納豆ボールも大好物の子どもたち。美味しいものを食べたいという子どもたちの食への欲は、生きる力の原動力となっていることを実感する毎日です。

     神様が下さる自然界の実りが嬉しい秋、鳥取みどり園に食欲の秋がやってきました。乳児棟横のはっぴー農園(子どもたちの畑)には、幼児部の子どもたちが春にさつまいもの苗(紅あずま)を植え、自分たちの仲間のように可愛がり大事に育ててきた苗が大きくなり、長い蔓が元気に伸びています。
     この畑ですが、学園の敷地内に在り山からは遠い場所にあるにもかかわらず、夜な夜な猪や猿がやってきて収穫前の根菜類を全部食べてしまうことから、以前は使用を断念していました。しかし、2年前より畑の横のグラウンドを芝生化にし、芝刈りを芝刈り用ロボットに任せるようにした所、深夜の暗闇の中、きらりとライトを光らせながら静かに芝を刈り続けるロボットの光が怖いのか、芝生化以降、野獣はやって来なくなり、今年も無事にさつまいもが収穫できそうです。子どもたちに人気のさつまいも料理は何と言ってもやき芋が一番です。熱々の焼き芋を口にし、喜ぶ子どもたちの笑顔が目に浮かんできます。フーフーしながら早く食べたいです。

     また、このはっぴー農園には、平成25年度の卒園記念品として頂いた記念樹で今年11歳になった青リンゴの木も元気に大きくなり、毎年頑張って実を付けてくれます。今年も収獲時期を迎えた先日、年長児がいざリンゴ狩りへ! その時の子どもたちの心理は写真では紹介できませんが、実った48個のリンゴの内、どれが食べたいか、一つ一つの実をじっくりと見つめ、違いをみつけようとする真剣な姿はとても可愛く、その時その時の「今」を子どもたちは全力で楽しんでいることを嬉しく思った時でした。
     収穫したりんごは、さて、どうして食べようか? 31名の年長児みんなで話し合った結果、収穫感謝祭礼拝の祭壇にお捧げする分は残しておき、残りはジャムにすることに決定! 鍋で半日コトコト炊いて氷砂糖を入れると、とっても美味しそうなジャムの出来上がり。さっそくおやつの時間にパンにたっぷり塗ってサンドイッチにして食べました。瑞々しくって甘くってしっとりとしていて…。美味しいものを食べたいという子どもたちの欲求はきっと、100%満たされたことでしょう。

     


      創立よりキリスト教保育を行っています本園にとって、11月に行う「収穫感謝際礼拝」は大事にしいる行事の一つであり、この行事を通して子どもたちは、自然の恵み・命をあたえてくださる神様に感謝し、収穫の喜びと恵みを、みんなで分かち合うことを覚えます。本園では毎年、秋が深まる中旬頃の1週間を「収穫感謝祭週間」とし、感謝祭を行う意味を子どもたちに知らせ、地域のお世話になっている方々にお礼の手紙を書いたり、祭壇にお捧した野菜や果物を届けたりするなど、収穫に関わる様々な活動を進めていきます。
     そんな1週間の中でも特に楽しみなのは、異年齢チームのみんなで隠し味になるものを決め調理する『隠し味ブレンドカレー』づくりです。昨年はチョコレートを入れたカレー、バナナと塩を入れたカレー、綿菓子を入れたカレー作りに挑戦。それぞれに微妙な味ながらも一工夫した自分たちオリジナルのカレーはとても美味しく、心も身体も満たされる嬉しい食育の体験となりました。
    今年は14日に隠し味となる食材を買いに行き、翌日に作るよう予定しています。今年の子どもたちは何を隠し味と考えるのでしょう。とてもわくわくしてきます。
     本園の教育・保育の重点目標は、本園の恵まれた緑あふれる自然環境と広々としたグラウンドを活かした『健康な身体づくり』です。食べる力は生きる力です。美味しいものを食べ、食べることを喜び、元気な心と体でいっぱい遊び、心豊かに育ってくれることを願う秋です。


    2024.11.17

  • 第68回 🍚『幸せの食卓』🥢 鳥取こども学園希望館 医師 こころの発達クリニック 院長 川口孝一

     本年度5月末より週3日、月・火・水ホームで夕食を子どもたちといただくようになりました。30年前は短い期間でしたが他の日勤職員と同様に昼食を大食堂でいただいていたこともありました。学園の味が私には合っていて美味しくいただいていました。が、人見知りが強い私は、会食恐怖症と言えるくらい会食や宴会、懇親会の類が実は大の苦手なのです。そんな席で何を話して良いのかといつも悩んでしまいます。職場の宴会でも勢いで参加を申し込んでおきながら、その日が近付くにつれて憂鬱になっていきます。そんな時に急な診察依頼が入ると、ラッキー!、「ごめんなさい。急な診察で参加出来なくなりました」と、ドタキャン。園内では付き合いが悪い男で有名です(この事で悔やまれるのは、酒好きの故藤野興一会長と飲みながら会話の機会を逸してきた事です)。大食堂での昼食をしなくなったのは、食事しながら、皆さんと何を話していいのか分からなかったことと、他にもう一つ理由がありました。食後は自分の食器を自分で洗うのですが、当時シンクに蛇口が一つしかなく、食べ終わってさあ洗おうと立ち上がろうとすると他の職員が立ち上がるため、また着席。いつまで経っても洗えないのです。そんな訳で、次第に皆さんが食べて終わる様な時間帯を目指して大食堂に行くようになりました。しかしその内昼休憩にも診察が入るようになり、いつしか大食堂で学園の昼食をいただかなくなってしまいました。


     そんな私が何故夕食をホームでいただこうと思う様になったかというと、一つには老化です。入所児童さんの夜の診察(面談)を終わった後、デスクワークを終えて、帰宅して夕食を摂るのは、どうしても午後10、11時になってしまいます。軽く食べる位にすればよいのですが、(皆さんも経験がおありだと思うのですが)お腹はいっぱいなのに、頭が欲しがってたくさん食べてしまうのです。それで寝てしまうので、消化器系にも良くありませんし、睡眠の質も悪くなります。以前から周囲の勧めもあったので、週2~3日、18:00~18:30の間にホームで子どもたちと一緒に夕食をいただくことを思い切って始めました。始めは緊張してホームに向かいましたが、子どもたちがみんな(たぶん?)温かく迎えてくれるので救われています。久しぶりにいただく学園の食事はどの品もみな美味しく懐かしいい家庭の味でした。「美味しい」だけでなく「幸せ」って感じました。そこでの食事は、子どもたちとの談笑が美味しさをより引き立ててくれますし、診察室だけでは見られない子どもたちの姿にも触れることが出来ます。


     ある日、私の食事がついているはずのホームに行くと、「え!?ドクター。(食事)付いてないよ。聞いてない」って皆びっくりした表情に。「手違いかなぁ」って帰ろうとすると、すぐさまH君が「俺がチャーハン作ってやろうか」と。今度はS君が直ぐに席を立って冷蔵庫の中を探しながら「パンならあるぞ」と。「ありがとう。大丈夫だから」と帰ろうとすると、I君が「ドクター、ストップ。動くな!」と、諦めるな、何とかするからと言わんばかりに私を止めてくれました。

     

     そんなお兄さんたちの言動を優しく穏やかな眼差しで見ているT君。それぞれの子どもたちがそれぞれの形で表してくれた優しさに触れ感激しました。「なんて優しい奴らなんだ!」「なんて可愛い奴らなんだ!」と思いました(同時に「こんなに優しく育ててくれて職員さんありがとう!」って思いました)。美味しいお食事はいただかなくとも、その日は子どもたちの優しい気持ちでお腹も胸もいっぱいになりました。こんな子どもたちやホームの職員さんと、こんな美味しい食卓を囲める至福の時に感謝です。これからも食べさせてもらいに行くぞ!

     


    2024.09.24

  • 第67回 🌹『毎日に彩りを添えて』🌺 児童心理治療施設 鳥取こども学園希望館 副館長 竹森 香理

     昨年8月、希望館事務所は教育棟1階フロアーへ、同時に館長室も教育棟へ移動となりました。医療チームの医師、看護師は医療棟と呼ばれる場所を頂きました。ここは平成4年、希望館がオープンしたときの事務所だった建物で、私はこの年から勤めているので古巣に戻って嬉しい気持ちや、『初心を思いだせ!』と鼓舞されてる気持ちになりました。

     玄関を出ると、目の前には、グリーンカーペットを敷き詰めたような色鮮やかな天然芝生が広がっていて、とても心地いいです。これは、令和4年6月、鳥取みどり園の71周年企画“鳥取方式”グラウンド芝生化プロジェクトで、みどり園の園児さんと保護者さん中心に法人職員も加わり、芝をひと株ひと株植えていきました。平日の午前中は主にみどり園の園児さん、乳児部の幼児さんや分校の体育活動、昼休みに遊ぶ生徒さん。放課後や休みの日には園内外の子どもたちもよく遊んでいてとても賑やかです。芝生なので転んでも痛くないようですし、砂ぼこりもあがらないので、擦り傷や目に砂が入るといった小さな怪我トラブルも減りました。朝夕のスプリンクラーでの水やりや自動芝刈り機“はっぱちゃん”のグラウンド整備のおかげもありとても感謝しています。元気に遊ぶ子たちや職員の姿、声を直接感じられることはとても幸せなことだと日々感じています。

     それから、子どもたちが生活しているホームからとても近くなったことも恵まれているなと思います。子どもや職員との物理的な距離が近くなりました。 “ドクター”“ナース”と愛称で呼ばれることも多く心理的な距離も近づくことができたかなと感じます。それに、職員駐車場からの通路にも面しているので、法人内のいろんな職員の方に出会うことが増えました。入りやすい(?)ようにと玄関も開放しているので立ち寄ってくれる子どもや職員もあり、日ごろのちょっとしたかかわりが支援の幅を広げ厚み持たせてくれてると実感しています。

     ここに移動して1年が経ちました。与えてくださった医療棟(環境)をどう生かすか。まずは自分自身が居心地のいい場所だと感じること、大切にしたい場所と思えることが大事だと思いました。仕事の合間にできるくらいのことで季節を感じられることは何かなと考え、花壇を作って花を育ててみることにしました。通路に沿っての花壇なので花が咲けば足を止めてみてくれる人もいるかもと、忙しく過ぎていく毎日のちょっとした癒しタイムになればとの思いもありました。植物には、人間が生まれながらに持っている自然治癒力に働きかけ、ココロとカラダのバランスを整えてくれる力があると言われています。昨年の秋に子どもと植えたチューリップ、ブルーの花を咲かせるネモフィラ、ピンク色の姫バラ、いい匂いのするスイートピーなど、花がきれいに咲けば切り花として飾ったり、プレゼントしたり。中学生の男の子が突然、「これあげる。去年、採ったやつだけど~。」と朝顔の種をくれたこともありました。「父の日にプレゼントしたい!」と花をもらいにやってくる子もいました。自発的に草取りを手伝ってくれる子や、水やりをしてくれる子もあります。医療棟の花たちに刺激されたと敷地内に花壇が増えたり(笑)、花の株分けをしてもらったこともあります。本当に、花を育てるって良いことづくし。こんな風に繋がりを大切にし、これからも、医療棟の癒しアイテムを増やしつつ、ココロとカラダの健康の話が安心してできる場所にしていきたいですし、いつでも誰でも駆け込める医療棟(チーム)でありたいと思います。

     「大人が楽しまんといけんわいや!!」と、会長がよく言ってくださいました。会長の言葉とその笑顔を胸に、子どもたちの毎日の健康を守ることは将来の豊かなココロやしなやかなカラダを育むことに繋がることを忘れることなく、生活を彩りあるものにできればいいなと思っています。どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。


    2024.08.23