第64回 🌿『今年も感謝の気持ちで歩みます』🌿 社会福祉法人鳥取こども学園 副理事長 田中 佳代子
令和6年度も早1ヶ月過ぎ、ゴールデンウイークを後に皆様がリセットされている時かと思います。子どもたちが生活している我園では、学校が休みの時の方が忙しく、いかに有意義に過ごすか子どもと一緒に頭を悩ませます。家で過ごせる子どもは、わずかであるだけに、悲観的にならないように普段出来ないことをいっぱいして、子どもも大人も楽しい思い出作りをします。ゴールデンウイークが終わると安定した生活を目指し、それぞれの励みが出来るように子どもひとり一人に寄り添い続けます。私自身は、直接処遇から離れ、応援隊としての営みをさせていただいていますが、毎年繰り返された子どもたちとの感動の1コマ1コマが大切な財産で、繋がり続けている学園出身者たちに活力を補充してもらっていることに感謝する日々を過ごしています。
なによりも私自身が、人として成長させていただいてきたこの法人に感謝するとともに、生い立ちや境遇を乗り越えて自分らしくと懸命に生きている子どもたちや出身者・保護者・利用者、その方々に懸命に寄り添っている職員の姿に日々感銘を受けながら働かせていただけていることは、とてつもなく幸せなことと感じています。人と関わらせていただいているからこそ心に響きを感じる世界です。
(創立百周年 記念式典で挨拶 藤野興一園長)
その陰には、ともに歩んでくださいました(私の入職は藤野興一会長が学園に戻り勤められた半年後で同士と呼んでくださいました)今は亡き藤野興一会長(令和5年9月10日召天)の存在なくしては、今の私はいなかったと常々思います。
今も私の中で、藤野興一会長の社会的養護(キリスト教社会福祉事業)に対する意気込みを語る言葉の数々が鮮明に蘇ってきます。どこでも、誰にでも同じ話を何度も何度もされ、それを自ら実践してこられたエネルギーと信念は並ではありませんでした。藤野会長は巳年でしたから執念深かったのかもしれません(笑)が、一度こうと思ったら決してあきらめない。「こどものためなら火付け、強盗、殺人以外は何でもしろ」「制度がなければ創れば良い」「お金は後からついてくる」(お金についてはいつも火の車で、事務はずいぶん苦労させられてきました)「目に見えるものより目に見えないものを大切にしろ」養育についての数々の名言です。子どもも職員も一つの家族として、一人ひとりに大切に寄り添われた藤野会長の想いは、ともに歩んできた職員に宿り、今も生き続けています。私は多くのことを学ばせていただいたのですが、『この心を大切にしたい』と思わされた事があります。それは、我が園の子どもだけが守られたら良いという狭い考えではなく、まずは鳥取県内の子どもたちが同じ目線で守られるようよう、県内児童養護施設に働きかけられたこと、他園で難題が発生すれば我が事のように手を尽くされた働きを間近で見させていただきました。その想いは、全国の子どもたちへの想いに繋がり、全国児童養護施設協議会の会長へと歩まれ、多くの改革を実践されました。数々の病に冒されながら、わが身を案じる暇もなく動かれた魂は、神に生かされた人と思わざるをえなかった方でした。『自分だけ良ければ良いではなく、全ての人が大切にされること』これが、藤野会長から学んだ生き方です。(言うは易し、行うは難しで、なかなかそのように生きるのは難しいのですが)藤野会長の告別式には大勢の出身者や旧職員・関係者が集まりました。その後も、「告別式に来られなかったから」と来園する多くの出身者は後を絶ちませんでした。この連休も墓参りに県外から訪れた出身者もいます。私だけでなく、多くの人びとが藤野会長に想いを寄せています。キリスト教では、死は永遠の命を意味し、今もわたしたちの周りで生き続け、その理念と継承を見守っておられるでしょう。
(令和5年6月 藤野会長室で)
若いときほどエネルギーも頭も回らなくなっている私ですが、今年度も地域の方々やたくさんの支援者に支えられている法人で過ごさせていただける事に感謝して歩みたいと思います。
たくさんの事業をさせていただいている法人ですので、行き届かないこともあろうと思います。どうぞ、皆様のお声も届けていただいて、ご指導ご助言を賜りながら、皆で育ち合いたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
2024.05.15