第43回『感染症について思うこと』 乳児院 鳥取こども学園乳児部 院長 竹中 成代
忙しい日々を繰り返しているうちに気付けば9月。暑さが和らぎ朝晩が涼しく、秋の気配を感じるようになりました。特に今年は時間の流れが早いように感じています。この時間感覚は年齢に反比例するとも考えられているようで、納得できる部分もありますが、コロナ禍であっても、月日は流れて季節は移り変わって行くのだなあとしみじみ思い、暗いトンネルから抜け出す日が一日も早く来ることを願ってやみません。
昨年度、乳児部の子どもたちは例年流行する感染症に罹患することなく、入院をする子どももなく、元気に過ごしました。コロナ禍で感染症予防対策が徹底されたおかげ?と思っておりましたが、今年は巷で流行っている感染症を見事にもらい、8月下旬には多くの子どもがRSウイルス感染症に罹ってしまいました。
乳児部ではコロナ禍にかかわらず手、洗い消毒、おもちゃ・床・壁・ドアノブなど子どもが口に入れたり触れたりする部分の消毒、換気など、日頃から感染症予防対策徹底を図っています。とにかく『職員が感染症を持ち込まないこと』を基本に、職員はプライベートな面でも行動を自粛するなどかなり気をつかっています。ところが一度感染症が入ると院内に拡がってしまうことをこの度久々に体験し、これがコロナであったらと想像すると恐怖を覚えました。
今回のRSウイルス感染症の最初の発症から終息するまでの経過や対応等を振り返ってみました。8月中旬は乳児部に病気の子どもはいませんでしたので、院庭やプレイルームで、乳児部のみんなで交わり元気に遊んでいました。RSウイルの潜伏期間は2~3日とのこと。発症した時には既に他児にも移っている可能性が高いということになります。この時期地域でRSウイルス感染症が流行っている情報は入っていましたので、感染症から身を守るためには、ホーム内だけで過ごし他との交流を控えるという行動制限をかける判断もあったのではないかとも考えました。ただ、それは感染症防止のことだけを切り取った場合の考えであって、乳児部で大切にしている『子どもの生活』を第1に考えるとその判断は違うとの結論に至りました。
また、感染症持ち込みの一つに地域で生活をしておられる子どもさんをお預かりする場合が考えられます。院内感染拡大を防ぐため、できるだけ個別の対応ができる体制(入所児童とは別の専用の部屋と専属の職員で預かる体制)をとりたいと思います。子どもたちの生活の安心安全の為には必要な取り組みと考えています。
乳児部は子どもの生活の場所です。保護者さんとの交流も大切にしています。また、他部署との交流、地域とのつながりも大切にしています。外部との交流を持つということは、いつ何処で感染症に罹患するか分からないということです。そこで重要となるのは、いかに早く子どもの異変に気づき、いかに早急に、尚且つ的確に対処するかです。乳児院職員に求められる専門性の一つと考えます。
引き続き日々の感染症予防対策徹底を図りながらも、多くの生活体験を取り入れ、乳児部職員が一つのチームとなって、子どもたちの安心安全で豊かな生活を守り保証することに努めていきたいと思います。
今後も乳児部を見守り支えていただきますようよろしくお願いいたします。
2021.09.08